より深く永続する人間関係を築く。 その4


まずは自分に対する思いやり・慈しみから

深く永続する人間関係を築くには、まず、自分と倫理観・道徳基準が似ている人を特定する。そして、ほめる、笑う、共通の目標・目的を探す、自分に対して思いやり深くするなどの行為によって、関係性を深めていくのでした。

私が興味深かったのは、周囲に対する思いやりは、自分に対する思いやりから始まる。自分に対して思いやりを持たないと、人間関係が弱くなる。このことです。感覚的・経験的には、確かにその通りだと思います。自分に対して厳しくすると、一般的には、他人にも厳しくなるのではないでしょうか。すると、人間関係に影響が出てくるかもしれません。

以前ご紹介しましたが、人間の脳には、進化の初期段階である本能的な部分があるそうです。こうした部分があるので、衝動に陥りやすく、目先の利益にとらわれ、長期的視野に立つことが難しいといいます。すなわち、人間に自己中心的な部分があるのは、ある程度仕方がない。ですから、これを責めても仕方がありません。

たとえば、友人が何かに失敗したとします。そんなときは、「気を落とさないで」「そのうち成功するよ」といった言葉をかけるのが普通です。でも、自分に対しては、「こんなこともできないのでは仕方がない」「自分は卑しい人間だ」。そんな風につぶやいたり、思ったりしてしまいがちです。これが続くと、自分は何をしてもダメだということになってしまうかもしれません(いわゆる学習性無力感)。何かに失敗したときには、友人に対してするように、「そのうち成功するよ」、「やり方を変えれば絶対に大丈夫」といった言葉を、意識的に自分に対してかけてあげることが必要ではないでしょうか。

雑草を取り除く

人間関係を努力して築いても、関係性は一瞬で壊れます。アミット・スード博士の「Handbook for Happiness」には、この点について非常に詳しく書いてあります。そこで、同書から紹介させていただきます。

①議論(口ゲンカ)するときのルール
議論(口ゲンカ)も、ときに有用です。これで蒸気が抜けて、殴り合いのケンカをするよりいいからです。しかし、激しく言い争うことは、望ましくありません。どうしても言わなければならないときは、議論を平和的かつ生産的にするために、以下のルールに従うようにしてみてください。

大切な人間関係を、物質的なことで犠牲にしない。

人間関係を築くには、時間がかかります。でも、言い争いを1回しただけで壊れます。人生において、人間関係は、あなたにとって最も貴重です。

理解される前に理解する。

人はたいていの場合、自分が理解されることを好みます。なので、まず相手を理解する努力をしましょう。不完全な情報に基づいて早急な結論を出さないようにします。

もっとも重要な点についてだけ話す

問題点に集中します。議論の対象を現在問題となっている重要な点に限定し、問題を一般化しないようにします。たとえば、「あなたは、いつもこういう言い方をする」「どんなときにも、こんなことはすべきではない」といった言い方をしないように心がけます。

・メールや電話で議論をしない。

メールは、内容が後に残るので、特によくありません。ささいなことならば、公の場で話し合った方が、お互いの声が大きくなりません。

言葉を慎重に選ぶ。

「あなたは」という批判的な言葉ではなく、「私は」という言い方をするようにします。たとえば、「あなたの態度が悪いのです」よりも、「私は腹が立ちました」のほうがよいです。「後で後悔しますよ」といった言葉を使わないようにします。

相手の立場に立つ

相手の立場にいたら、自分がしたことをどう感じるか想像してみましょう。

意見の不一致を現在の問題に限定する。

意見を同じくすることができないと分かったら、話の内容を現在の問題に限定します。ある点について意見が異なるというだけで、相手の全部が悪いと考えないようにしてください。

自分の期待を小さくする

どんな人でも、自分の意見を主張し、自分の好む選択をする資格があります。自分にとって重大なことでも、他人にはそうではない場合もあります。他人にできるだけ期待しないようにする方が確実です。

戦略的に爆発を回避する。

爆発しそうになったら、話合いを一時中断します。否定的に考えるのをやめましょう。何回か深呼吸してみてください。感謝と思いやりに頭を切り替えましょう。感謝と思いやりを使って、現在の問題を再評価してみてください(現在の問題をプラスに捉えることができませんか)。新しい観点から問題点を話し合ってみましょう。

②怒るときのルール

怒りを爆発させるのが有用な場合もありますが、ほとんどの場合、怒りを爆発させると後悔する結果となります。怒りやフラストレーションを感じるのは、期待と現実との間に差があるからです。公式化すると、「怒り=期待-現実」です。この簡単な公式を使えば、解決策は簡単に見つかります。

つまり、現実を変えて期待と同じにするか、あるいは、期待を小さくして現実と同じにするかしかありません。そして、現実をコントロールするのはたいていは無理ですが、期待を小さくするのは、自分でコントロールできます。

もっとも、期待を小さくしようと努力しても、怒りのワナに嵌ってしまうことはあります。怒ったからといって、すべてが失われるわけではありません。怒りのエネルギーを利用して、問題解決や被害を小さくすることもできます。以下のルールを使って、怒りを上手に扱ってください。

適切な人に怒りを向ける。

怒りを非難に変えないようにします。あなたが悪いといってしまうと、非難された方も腹が立ちます。また、この人は弱いから、言い返してこないからという理由で、怒りのターゲットにしてはいけません。弱者に対して怒りを向ければ、あなたは卑怯な人と思われます。

適切な場所で怒る。

公の場所で怒りを吐き出すのは、やめておきましょう。また、子どもや、愛する人の前で怒るのもやめておきましょう。

適切なときに怒る。

既に傷ついている人、苦しんだいる人に対して怒らないようにしましょう。誰かのお祝いや特別な日には、怒らないようにします。怒りの理由や解決策を話す時間がないときには、怒らないようにします。

適切な限度を超えて怒らない。

小さなミスに対して、過剰に反応しないようにします。

適切な目的・意図に基づいて怒る。

誰かを傷つけるために怒ってはいけません。また、自分のフラストレーションを解消するために怒るのもいけません。他人の気持ちを前向きにするため、状況をよくするためといった適切な目的で怒るようにしましょう。

以上の5つのルールに従えば、怒ることも、より大きな目的のために役立ちます。今度、怒りを感じ始めたら、以下のチェックリストを思い出してください。

・怒る人は適切か。
・場所は適切か。
・時は適切か。
・限度は適切か。
・意図・目的は適切か。

感想

怒るのは難しいですね。でも、どんなときでも黙っていればいいとは思えません。黙っていれば衝突は避けられるかもしれませんが、相手から逃げているだけでは適切な人間関係が築けないと思います。

ただ、相手を非難するのは、避けた方がいいですね。収拾がつかなくなります(笑)。明日は、「批判するときのルール」「ノーというときのルールです」。

参考:Amit Sood, M.D. 「The Mayo Clinic Handbook for Happiness」

hidenorin
翻訳者。早稲田大学商学部卒業。名城大学大学院法務研究科(法学既修者コース)2016年修了。 全国珠算教育連盟珠算検定試験1級。TOEIC940。 趣味は読書、水泳、写真撮影です。

2件のコメント

  1. いつも,生きていく上での燈台みたいな、文。プリントして読み返します。有難うございます。

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