自分を大切にしてほしい
以前、車で信号待ちをしていたとき、ふと横を見ると、学校帰りらしい中学生が5人くらいいて、そのうちの1人が別の1人に対して、ちょっかいを出していました。そのうちに投げ飛ばして、歩道の上に倒れたところを羽交い絞めにしています。最初はふざけているのかと思いましたが、やられている子の表情を見て、いじめかなと感じました。
たいていの場合、まず身体に触らせないのではないでしょうか。でも、やられていた子は無抵抗なのです。表情からは、つらい、止めてほしいという感情が伝わってきます。習慣的にいじめられているように感じました。
どうして、やり返さない?
その前に、どうして身体に触れさせる?
どうして、もっと自分を大切にしない?
自分で自分を大切にしなかったら、誰が大切にしてくれるでしょうか。でも、それができないから、いじめられてしまうのかもしれません。
サイコセラピストのティナ・ギルバートソン(Tina Gilbertson)によると、最初の重要な一歩目がなければ、誰も自分を助けてくれないというようなことは起こりえないといいます。では、その最初の一歩目とは、どのようなことなのでしょうか。
だれも守ってくれない。40年たっても同じ。
ギルバートソンが電車待ちをしていると、見知らぬ中年の女性(「Aさん」とします。)も同じ電車を待っていて、自分のことを話してくれたそうです。Aさんの父親は、Aさんがまだ若い時に亡くなりました。Aさんの母親は再婚したそうです。継父には自分の子が二人いて、Aさんには無関心でした。
Aさんは、義理の兄弟姉妹の影のなかで育ちました。Aさんは学校でいじめられましたが、恥ずかしくて誰にもそのことを言えませんでした。成長していくなかで、だれもAさんにそれほどの注意を向けてくれなかったそうです。Aさんの母親も同じでした。Aさんはいつも、だれも自分を守ってくれない、助けてくれないと感じていました。
そして現在、Aさんには友人がいますが、その友人たちはいつもAさんが望むほどには助けの手を差し伸べてくれません。職場の上司は、Aさんの業績が優秀でも、Aさんを昇進させてくれません。市、家主、他の団体も権力を濫用して自分を利用している。Aさんは、そう言うのです。
子どものときも、40年たった今も、事態は同じ。だれも自分を守ってくれないし、だれも自分を助けてくれない。Aさんは、そう言ったそうです。
自分を見放してしまうプロセス
この人は私を助けてくれない。そんな人は簡単に分かります。でも、自分で自分自身を守らなかったり、自分自身を助けていないことに気づくのは、ずっと難しいのだそうです。では、どのようにして人は自分自身のことを見放してしまうのでしょうか。そのリストの一部がこれです。
・自分自身を厳しく判断・評価する。
・自分の身体の健康とメンタルヘルスに気をつけない。
・他者が自分の境界を侵害するのを許してしまう。
・自分の真の感情を無視または抑える
・他者に反対された場合に、自分が間違っていると考えてしまう。
・不当な批判から自分を守らない。
自分を大切にする
他人はその人が望むことをするでしょう。あなたがこんなことをしてほしいと思っても、おそらくしてくれないでしょう。あなたが自分で自分を守らないのであれば。
不当な扱いを受けた場合には、だれかが一歩前に出て、不当な扱いから身を守る必要があるのです。大人の場合には、自分自身でそれをします。あなたがいつも上に記したようなことをして、自分を守らず、自分を助けないのであれば、他者もまた同じようにするでしょう。自分で自分を守らず、自分を助けないのであれば、だれがあなたを守り、助けてくれるでしょうか。
子どもは自分で自分を守れない。だから、親が子に注意を向けるべき。
親は自分の子に注意を向けるべきです。しかし不幸なことに、親が自分の子に注意を向けないことがあります。すると子どもは、だれの助けもなく、自分で自分を守らなければいけなくなります。しかし、子どもが成長すれば、自分で自分を守り、自分を助ける責任があります。このことは、子どもの頃に自分を守ってくれる人がいても、いなくても同じです。しかし、自分で自分を守らずに、だれかが守ってくれるのを待っている人もいます。
自分で自分のことを守ろうとすると、他者からのサポートが得られなくなってしまうような気がしますか。そんなことはありません。自分で自分を守り、自分を助けるようにすれば、それだけ他者もあなたを守り、助けてくれるようになるのです。
自分で自分を大切にする
だれも私を助けてくれない。それはつらいことです。でも、そういうものだと(だれも助けてくれないのが当たり前だと)思ってしまえば、他者に依存する必要はなくなります。そして、あなたをサポートしてくれる一番安全な人を迎え入れましょう。それは、あなた自身です。
自分で自分を大切にすれば、他者に対しても、あなたは大切にされるに値する存在であることを示すことになります。ですから自分を大切にしましょう。あなたは現実にそれに値するのですから。
感想
自分で自分を大切にするのが難しいと感じる場合には、だれか自分の好きな人にいつも側にいてもらって、声をかけてもらうのはどうでしょうか。たとえばキティちゃんのような、好きなキャラクターでもいいと思います。
そして、いつも側にいてもらって、「だいじょうぶ」「がんばって」「世界一」みたいな声をかけてもらって、応援してもらうのです。他者に応援してもらう機会はなかなかありませんが、これなら1日24時間いつでも応援してもらえます。だれにも気づかれませんし、なかなかいいと思います(笑)。
参考: Tina Gilbertson LPC, DCC 「The Surprising Reason People Aren’t There for You」