自尊心から「セルフ・コンパッション」(自分に対する思いやり・憐み)へ。 その2


セルフ・コンパッション(自分に対する思いやり・憐み)の効果①

まず、カリフォルニア大学バークレー校のJuliana Breines博士の研究では、セルフ・コンパッションの考え方をとりいれると、自分の弱点、間違い、失敗から学び、改善しようという気持ちが高まりました。どうしたら成績・業績がよくなるか。その方法への関心が高まり、改善に対する行動への意欲が高まったのです。

しかも、自分の弱点を改善できるという楽観的な考え方が、より強まりました。自己批判よりセルフ・コンパッションのほうが、自己改善という点で効果があったのです。

セルフ・コンパッションは、自己改善につながる。それだけではありません。自己批判の考え方から、セルフコンパッションの考え方にシフトする。それが簡単にできることも分かりました。

セルフ・コンパッション(自分に対する思いやり・憐み)の効果②

また、Kristin Neff博士の研究では、自分に対して思いやり・憐みのある(自分に優しい)人は、そうでない人に比べて、抑うつ、ストレスを感じる程度がはるかに低く、幸福感、回復力がはるかに高いことが分かりました。

さらに、ブリストル大学のHelen Rockliff博士の研究では、自分に対して思いやりの感情をもつと、コルチゾールの分泌量が低下することが分かりました。コルチゾールは、ストレスを受けると分泌量が増え、心拍数の増加や体温・血圧・血糖値の上昇を促します。

セルフ・コンパッションを実践することで、精神的・情緒的な部分が変わるだけでなく、身体にまで変化が起きたのです。

また、セルフ・コンパッションは、減量(ダイエット)でも効果を上げているようです。心理療法士でハーバード医学校で教鞭もとるJean Fain氏は、「セルフ・コンパッションは、どんな減量プランにもないけれど、減量を成功させるためには不可欠なものです」と述べています。ダイエットは、多くの場合、リバウンドするのではないでしょうか。セルフ・コンパッションを採り入れてみるといいかもしれません。

セルフ・コンパッションの3つの要素

Kristin Neff博士によると、セルフ・コンパッションには3つの要素があるとされています。非常に重要な部分だと思いますので、ご紹介しますね。

①自分を慈しむこと(Self-kindness)

自分が苦しんでいるとき、失敗したり、自分が人より劣っていると感じるとき、その苦痛に注意を払わなかったり、自己批判による罰を加えるのではなく、自分に対して愛情をもち、理解を示します。

自分に対して思いやりを持つ人は、不完全な点があったり、間違いをしてしまったり、人生で困難を経験するのは避けられないことだと分かっています。なので、つらい経験に直面しても、自分に対して優しくできるのです。

②人間性に対する理解(Common humanity)

望んだ通りにいかない。そのときに感じるフラストレーションには、非合理的な孤立感を伴っている場合が多いといいます。自分だけが苦しんでいる。こんな失敗をするのは自分だけ。そんな風に思っているのです。でも、人間は、誰でも苦しみます。

人間というのは、いつか死に、傷つきやすく、不完全です。また、人間の脳や心は、原始的な衝動で動いている部分があります。それゆえ、苦しんだり、自分のことを劣っていると感じることも、人間であれば誰しもが経験することです。自分だけでは、ありません。これを理解することも、セルフ・コンパッションの一部です。

また、自分の考えること・感じること、自分の行動は、外的な要因にも影響されます。育った環境、文化、遺伝、環境、他人の行動や期待。こうしたものに影響を受けています。ですから、自分の欠点・弱さ、人生における困難さを、すべて自分が悪いからだと考える必要はない。自分に対して思いやりと理解をもてば、批判的にならずに、これらのことを認められます。

③マインドフルネス

マインドフルネスは、自分の考えや感情を批判的にみないで、そのままを観察し、そのまま受け止めます。セルフ・コンパッションの考え方も同じです。感情を抑圧したり、誇張したりしません。

感想

自己批判よりセルフ・コンパッションのほうが、自己改善の効果が高い。これには驚きました。精神的・情緒的に安定して、しかも自己改善の効果が高いのですから。

明日は、どうしたらセルフ・コンパッションを実践できるか。その方法をご紹介します。

参考:
Kristin Neff Ph.D. 「The Physiology of Self-Compassion」
Kelly McGonigal Ph.D. 「Does Self-Compassion or Criticism Motivate Self-Improvement?」
Emma Seppälä Ph.D. 「Self-Compassion Outweighs Self-Esteem for Resilience & Empowerment」
Tara Parker-Pope 「Go Easy on Yourself, a New Wave of Research Urges」


hidenorin
翻訳者。早稲田大学商学部卒業。名城大学大学院法務研究科(法学既修者コース)2016年修了。 全国珠算教育連盟珠算検定試験1級。TOEIC940。 趣味は読書、水泳、写真撮影です。

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