コンパッション(他者への思いやり)を実践するには。 まとめ


コンパッション(他者への思いやり)についての誤解

コンパッションについては、ずいぶん思っていたことと違いました。思いやりが成功と関連している。思いやりは、生まれつきの本能。成功するためには、思いやり・慈しみを深めなければならない、などなど。

かなり違っていたので、最後に少しまとめてみます。

「成功するためには、他者に対して思いやり・慈しみを深める必要がある」

「成功するためには、自分のことに集中する必要がある」。スタンフォード大学CCAREのエマ・セッパラ(Emma M. Seppälä)博士によると、こうした考え方は、自分を助けるどころか、かえって害になるといいます。

実際は、その反対で、「成功するためには、他者に対して思いやり・慈しみを深める必要がある」。これが科学に裏付けられた見方だそうです。

コンパッション(他者への思いやり)は本能

自分の利益を図ることが、人のもって生まれた性質。多くの人がそう思っていますが(私もそう思っていました)、これも間違っているそうです。

ネズミでさえも、苦しんでいる他のネズミに共感し、助けに走るそうです。人間と動物のどちらでも、コンパッション(他者への思いやり)は生来の性質。

「あと3日しか生きられないとしたら、何をして過ごしますか」。スタンフォード大学が行った調査によると、一番多かった答えは、「愛する人と一緒にいたい。人助けがしたい」でした。

人間は、コンパッション(他者への思いやり)を実践するようにできている。そして、そうすることによって、より幸せになれ、より充実感を覚える。そのことには、ほぼ疑いはないそうです。

科学的見地からすると、人間は本来、他者中心すなわち他者に思いやりを示すのが自然。こうしたコンパッションの実践を妨げるのが、人はすべて自己中心的な存在だという考え方だそうです。

「助けるのは自分の利益のため。見返りに何かを求めているんだ」。人からそう思われるのが嫌で、コンパッションを実践できなくなってしまうということです。でも、コンパッションは人間の本能なのですから、気にする必要はないわけです。食べたり、寝たりしなければ、死んでしまいます。それと同様に考えていいのではないでしょうか。

コンパッションは成功に結び付く

ミシガン大学のキム・キャメロン教授らは、職場で思いやりのある行いを実践した場合の効果を測定しました。たとえば、お互いに助け合う、仕事の意義を強調する、他者を責めない・ミスを許す、尊敬・感謝・信頼・誠実をもって他者に接する。こうしたことを組織内で実践してもらったのです。

すると、生産性のレベルは、劇的に高まったそうです。職場に思いやりが増えれば増えるほど、それだけ利益率、生産性、顧客満足、従業員の忠誠が高まったのです。また、従業員どうしの協調関係も改善しました。それだけでなく、顧客の健康状態までよくなったといいます。コンパッションのよい効果は、どんどん広がっていくのです。

ただ、親切で思いやりのある人(与える人)は、他者に利用されてしまうことがあります。ウォートン・スクールのアダム・グラント教授によると、与える人は、出世という点で両極端の位置を示しているのだそうです。利己的な人に利用されてしまい、出世できない人がいる一方で、利用されない方法を知った人は、トップにまで登りつめる傾向があるといいます。コンパッションを実践する際には、少しだけ気を付けたほうがいいかもしれません(笑)。

コンパッションは遠くまで広がっていき、その効果は非常に大きくなる。

ニコラス・クリスタキスらの研究によると、あなたが親切だと、あなたの周りにいる人も親切な行いをする可能性が高まります。この人たちは、あなたに親切のお返しをしてくれるだけでなく、別の人に対しても親切になるのだとか。つまり、思いやりある行いは、周囲に広がっていき、しかもその強さを増すのです。

コンパッション(他者への思いやり)は健康にもよい

コンパッション(他者への思いやり)は、身体の健康と精神の健康(持続的幸福感)の両面で効果があるそうです。ただし、その効果が見られたのは、コンパッションの動機が利他的であった場合に限られたとか。つまり、コンパッション(他者への思いやり)の実践は、自分の利益を考えるのではなく、純粋な行為でないと効果が見られないのだそうです。

出世できると思ってやったら、ダメなんですね。気を付けたいです(笑)。

コンパッション(他者への思いやり)を実践するには

①相手をよく見て、しっかり話を聴く。

では、どうしたら思いやりの行為を増やせるのでしょうか。共感は本能ですから、この反射的な共感を利用すればよいのだそうです。

たとえば、①誰かが話をしているときには、100%の注意で、その人を観察し、話を聴く。表情やイントネーションもコミュニケーションの一環です。それゆえ、顔の表情、とくに目をよく見る必要があるといいます。研究によると、相手(とくに顔や目)をしっかりと見ることで、その人の感情は読み取れるそうです。

ですから、相手の話をしっかりと聴き、よく見るようにすれば、相手の感情が分かり、コンパッションを実践しやすくなります。

②相手の感情を言葉にしてみる。

たとえば、職場の同僚が悲しそうに見えたとします。そんなときは、「今日はちょっと元気がないように見えるけど。私に何かできることがあったら言ってね」。上司がイライラしているように見えたら、「何かありましたか」。そんな風に声をかけてみます。

悲しいのではなく、単に疲れているだけかもしれません。もしそうなら、その人は、そう言うでしょう。本当に悲しいのであれば、その人は理解してくれたと思うかもしれません。

③慈悲の瞑想(loving-kindness meditation)を習慣にする

慈悲の瞑想を習慣にすると、共感力が高まる、他者や自分に対してより思いやり深くなる等、様々な効果があるそうです。しかも、即効性があるといいます。慈悲の瞑想は、以前ご紹介しました。ぜひ、やってみてください。

自己中心神話の崩壊

自己中心の考え方は、かえって成功と幸福を妨げる。コンパッション(思いやり・慈しみ)の実践によって他者にフォーカスすれば、成功と幸福が近づき、素晴らしい結果となる。しかも、その効果は広がっていく。研究は、このようなことを示しているそうです。

感想

コンパッションは本能で、相手をよく観察すれば、反射的に実践できるようになる。よほど立派な人でければできないと思っていたので、これには驚きました。動物にも共感力があるというのも、驚きでした。

コンパッションを実践しようとすると、恥ずかしいと思うことがあって、難しく感じますよね。逃げ出したくなってしまいます。でも、勇気を出してやってみる価値はありそうですね(笑)。

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参考:
Emma Seppälä, Ph.D. 「The Happiness Track: How to Apply the Science of Happiness to Accelerate Your Success」


hidenorin
翻訳者。早稲田大学商学部卒業。名城大学大学院法務研究科(法学既修者コース)2016年修了。 全国珠算教育連盟珠算検定試験1級。TOEIC940。 趣味は読書、水泳、写真撮影です。

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