人生の意味をみつける。 その1


人生の意味

「人生の意味」という言葉は、ときどき目にします。でも、「人生の意味」と言われても、そのようなものが本当にあるのかわかりません。仮にあったとしても、それが何なのかは不明確です。

しかし、人生の意味についても、いろいろな調査研究が行われているそうです。では、人生の意味(意義深い人生)とは、いったい何なのでしょうか。単に幸せであることとは違うのでしょうか。

「幸福な人生」と「意義深い人生」との違い

人は不幸だから自殺をするのでしょうか。答えは、そうではないそうです。自殺をするのは、人生に意味を見いだせないから・・。自殺と人生に意味を見いだせないこととの間には、相関性があるといいます。

研究によると、「意義」と「幸福」とは違うのだそうです。意義深い人生を送っている人は「与える人」ですが、幸せな人は「受け取る人」なのだとか。

子育ての例

一番よい例が、子育てだそうです。おむつを洗っても、幸せにはなれません。子どもには、お金がかかります。また、子どもは、そこら辺を傷だらけにしてしまいます。調査によると、子どもを持つ親の幸福度、生活満足度、結婚満足度、精神的ウェルビーイングは、そうでない人に比べて、有意に低かったそうです。

しかし、子どもは、私たちの生活に大きな意味をもたらしています。このことも、研究によって分かっているとか。赤ちゃんが寝つかない。それで親が幸せになるということはありません。でも、幸せがすべてではないといいます。子育ては、与えることの究極の形です。そして、与える人は、意義のある人生を送ります。

外部的な幸せは、消えてしまうのも早い。

ある研究では、10日間、学生らに意義のあることをしてもらいました。学生らは、人を助けたり、一生懸命に勉強したり、友人を元気づけたりしました(こちらを「意義集団」としましょう)。他方、別の学生らには、幸せになれることをしてもらいました。その学生らは、眠ったり、テレビゲームをしたり、キャンディーをなめたりしました(こちらを「幸せ集団」とします)。

すると、「幸せ集団」は、より幸せになりました。他方、「意義集団」は、豊かな気持ちになり、やる気が出て、自分自身より大きなものの一部になったような気がしたそうです。

しかし、3か月後、「幸せ集団」の幸福感は、消え去ってしまいました。一方で、「意義集団」のそのような気持ちは、なくならなかったといいます。つまり、長期的に見ると、意味・意義を追求することによって、心理的健康が高まるようなのです。

では、どうしたら人生に意義を見いだせるのでしょうか。研究によれば、それには特定の要因があるようです。

1 帰属・所属すること

不幸だから自殺するのではなく、人生に意義を見いだせないことが自殺につながるのでした。エミール・デュルケーム(社会学者)は、自殺の人口統計を見て、最初は、自殺があらゆる場所に分布しているのだと思いました。しかし、それほど単純ではなかったのです。

ある国が戦時中であると、自殺は減少しました。人が教育を受けていると、自殺は増加します。しかし、ユダヤ人には教育を受けた人が多いですが、自殺をする人の割合は、いく分少ないのです。一体どうしてなのでしょうか。

原因は、何らかの集団に帰属あるいは所属していることにあったといいます。戦争は悲惨ですが、人々は敵に対して結束して立ち向かいます。他方、教育は、学校に行ったり、好きな仕事に就くために、友人や家族のもとを離れます。ユダヤ人は、教育を受けていますが、強いコミュニティの中で生活しています。

そこで、人生に意義を見出すのに最も早い方法は、何かの集団に所属することだといいます。ですから、所属していないのなら、どこかのグループに入ってみましょう。参加するグループがないのなら、グループを作りましょう。グループを作るには、共通の関心を持つ人に対して、定期的に集まろうとメールを送ればいいのです。

2 目的

「目的」という言葉を聞くと、しり込みしてしまいますね。「目的」というと、何か大きなことをしなければいけないと思ってしまいます。でも、自分のしていることを、どのように見るかなのだそうです。

ケネディ大統領が1962年にNASAを訪れたとき、大統領は、一人の雑役夫を見かけました。大統領は、その人に、ここでどんな仕事をしているのか尋ねました。すると、その雑役夫は、このように答えたそうです。「人類を月に立たせる手伝いをしています」。これが「目的」です。

「目的」と呼べるためには、2つの性質が必要。

雑役夫は、「ゴミ箱をきれいにしています」とは言いませんでした。スタンフォード大学の発達心理学者であるウィリアム・ドーソンによると、「目的」というためには、2つの性質が必要になるそうです。「人類を月に立たせる手伝いをすること」は、この2つの性質を備えています。

まず、目的は、揺るがない、大きな影響力がある目標でなければいけないといいます。「何とか一日を乗り切って、クビにならないようにする」では、目的になりません。モティベーションの源になって、行動計画を立てられるようなものでなければいけないのです。

2つ目に、世界に貢献するという要素がなければいけません。組織心理学者のアダム・グラントによると、最も意義のある仕事には、たとえば外科医、聖職者、教育者などのように、他人を助けるという役割があるそうです。

ですから、自分の仕事での役割を見つめなおして、より意義を感じられるようにしてみましょう。自分の仕事は、より大きな目標の実現に、どのように貢献しているでしょうか。どのように人々の生活をよりよいものにしているでしょうか。

3 自分という枠を超える

人生はときに、とても小さく感じられるものではないでしょうか。どうしたら収入のよい仕事が得られるだろうか。どうしたら恋愛がうまくいくんだろう。しかし、宇宙飛行士は、遠く離れた場所から地球を見て、何か大きなものに触れて、人生が変わったように感じるといいます。

ある研究では、大木を見つめた学生らのグループと、高層ビルを見つめた学生らのグループとでは、前者の方が困難に対する耐性が増すという結果が出ました。なぜでしょうか。

大木を見たグループは、大木の姿に畏敬の念を感じます。すると、他人ではなく、自分が重要だという気持ち(自己重要感)が小さくなるのだそうです。そして、より思いやり深くなるとか。自負心、すなわち、自分が世界の中心にいるという考えを捨てるそうです。自分という殻から出て、他者とつながりをもち、他者に意識を向けるようになるのだとか。

意味を見つけるために、宇宙性に乗り込む必要はありません。グランドキャニオンに旅行するのも、悪くないかもしれません。自然に触れてみてください。

感想

「人生の意味」という言葉は、ときどき目にします。抽象的で漠然とした感じがしますが、こうしたことについても研究が行われているというのは、少し驚きました。

外部的な幸せは、消えてしまうのも早い。にもかかわらず、お金や結婚相手といったことを第一に考えてしまいがちですよね。どうしようと悩んだり(笑)。「人生の意味」は、人間の内面にあるもの。こちらの方が持続的幸福につながるといいます。にもかかわらず、「人生の意味」なんて普段あまり考えないですよね。


hidenorin
翻訳者。早稲田大学商学部卒業。名城大学大学院法務研究科(法学既修者コース)2016年修了。 全国珠算教育連盟珠算検定試験1級。TOEIC940。 趣味は読書、水泳、写真撮影です。

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