どうしたら人を許せるか。 その1


怒り、遺恨をもつと健康が損なわれる。

何か嫌なことを言われたり、されたりすることが誰しもときにはあります。また稀には、犯罪や事故の被害者になったりすることがあります。そんなときは相手や加害者に対して、怒りを感じ、それが長期間継続することもあるかもしれません。しかし、この状態が継続すると、自分自身が苦しくなってきます。

メイヨー医科大学のアミット・スード博士によると、怒り、遺恨、敵意をもつと不安、抑うつ、神経過敏、睡眠障害、血圧の上昇、不整脈,心臓病のリスクの増大といったことにつながるそうです。

許すことの利点

他方、許すことには多くの利点があるそうです。許すことの利点の一部をリストにすると、以下のようになります。

・許すことにより、身体的な健康が増進する。血圧が改善し、心拍数が低下し、免疫力が向上する。

・許すことにより、心的・情緒的な健康が増進する。睡眠が改善し、不安、抑うつ、ストレスレベルが低下する。

・許すことにより人間関係が改善する。
・許すことによりエネルギーが節約できる。
・許すことにより注意力が増す。
・許すことにより自分自身に満足できる。
・許すことにより、さらに精神性の高い毎日が送れる。
・許すことにより、さらに幸福になれる。

では、どうしたら許すことができるのでしょうか。アミット・スード博士の「The Mayo Clinic Handbook for Happiness」からご紹介します。

許すことが難しい理由

許すことは簡単ではありません。許すことが難しいのには、いくつか理由があるのだそうです。その一部が以下のリストです。

・一般に、許すことは弱さの表れだと思われている。
・感情を害されて許すのは、不公平のように思える。
・許してしまうと自分が傷つきやすくなるのではと怖れる。
・その人は許しに値しないと感じる。
・許すことで自分の権利が奪われると感じる。
・報復を頭に思いえがくと、快楽中枢が活性化する。

許しには相当な努力が必要

何かを練習する場合には意図的にするものですが、許しも同じです。報復を計画することで脳の快楽中枢が活性化しますから、相当に努力しなければ許すことはできません。許すためには、次のことが必要です。

・起こったことを理解し、人を許すことはできると分かる。
・もっと上手に許せる人になる。
・許すことの意味を分かる。

では、5つの見方と9つの真珠を携えて、許しに至る旅を始めましょう。もし許すことが難しかったら、自分を許しの源と見るのではなく、自分を許しが流れていく水路だと考えてみてください。許せないと思える心の傷については、メンタルヘルスの有資格者の助けを借りたり、あなたが信頼できる人に寄り添ってもらうことが必要となるかもしれません。

5つの見方で許しが容易になる

1 悪意はない場合が大多数

家で床にある物を拾おうとして、前かがみになっているところを想像してみてください。突然、だれかがあなたの脇から勢いよく走ってきて、あなたの頬を片方の手でつかみ、顔に引っかき傷がつくまで引っ張りました。あなたはどんな感じがするでしょうか。うっとりして、幸せで、楽しかった。そんなことはないですよね。怒りを感じた、腹が立った、困った。もしそうなら、だれが頬を引っ張ったのか教えてください。

頬を引っ張ったのが9か月の娘あるいは孫だったら、どうでしょうか。情緒が湧きあがって、あなたのところに這い上がってきたのです。それでも、あなたはまだ腹が立ちますか。

他人の行動が悪意のない無知から来ているものだと考えれば、許しやすくなるのではないでしょうか。

2 つながりを感じる(共通点をさがす)

いま午前7時55分です。朝食をとる時間は5分しかありません。8時から会議があるからです。急いでご飯を食べていると、知恵歯で頬を噛んでしまいました。痛みが治まるのを待ってから、また朝食を食べ始めました。今度は前よりも、ゆっくりと食べます。知恵歯は頬に許しを求めるべきでしょうか。知恵歯が頬に許しを求めるなんて、おかしく聞こえますよね。

おかしく聞こえるのは、知恵歯と頬は、あなたという全体の一部だからです。だれかとつながっていると感じ、その人をいい人だと思っているのなら、その人のすることはいいと思えます。しかし、その人をいい人とは思えず、あるいは、つながっていると感じられない場合には、小さな欠点でも大きく見えてしまう者です。つまり、人とのつながりを深く感じられれば、それだけ許しも容易になります。

また研究によると、他者とのつながりを感じ、思いやりを持つためには、共通点をさがすといいそうです。私たちには、同じ人間であるという共通点があります。そして、人間には不完全な要素があり、誤りを犯しやすいという部分があります。人間の心は、理性的ではなく合理的でもないそうです。人間の心はむしろ、近視眼的で先のことを考えず、セルフコントロールを欠き、硬い偏見に導かれ、早まった結論に飛びつき、えてして衝動や盲目的な愛情・情熱、恐怖に支配されやすいのだそうです。人間の心は、気を散らすものや、情動の揺れに大きく影響されるのです。人間の中には、よい部分と悪い部分がもともとあるのだそうです。

これを認識していれば、だれかの利己的・自分本位な行動も、もともと人間の持っている性質の一部だと考えることができます。また、自分も非合理的な行動を無意識にしているかもしれない。そう思えます。すると、許しにつながるのではないでしょうか。

3 自己防衛の結果、他者を傷つける。

アミット・スード博士が友人を訪ねたときのことです。椅子に座っていると、知らないうちにポメラニアン犬がやってきて、椅子の下に座りました。博士が立ち上がったとき、たまたま尻尾を踏んでしまいました。ポメラニアンは吠えて、博士の手にかみつきました。明らかに怒ってかみついたのです。ポメラニアンは、しっぽを踏まれて(わざと踏んだのではないですが)、自分の身を守るためにかみついたのです。

多くの場合、人は傷つきやすい自分を守ろうとします。怒るのは恐怖を感じているからです。ぶっきらぼうな言葉は、その人が傷ついているからです。他者は自己防衛から行動していて、多くの場合、その自己防衛が飛び火して被害を受けるのだと考えれば、許しがより容易になるのではないでしょうか。

4 誤解ですから許してください

また博士は、頼まれていないのに、近しい友人に財政的援助をしたことがあったそうです。振り返ってみると、そんなことはすべきではなかったと思うそうです。その友人は海外から来た人で、博士は助けが必要だと思いました。 友人の自我は、博士の誤解によって傷つきました。友人は博士の無知を悪意と受け取ったのです。それによって人間関係が対立しました。友人は怒って、かなり強く博士を批判しました。博士は、言葉遣いが適切でなかったために、誤解されたのだと思いました。

自分が受ける悪口や中傷のは、その多くが意図的になされたものではないのではないでしょうか。人間は神ではありません。すべてを見通して、誤りのない判断をすることは不可能です。自分が受ける悪口や中傷は、そうした人間の無知や誤った判断に基づくものかもしれません。つまり誤解なのです。そうした単なる誤解を、絶対に許せないものとしてしまうべきではありません。無知や誤解なのですから許してください。

5 悪いことの中に、いい点を見つける。

何が悪いことがあっても、後から振り返ってみるとラッキーだったと思うことがあります。私事になりますが、あるとき20%の減給をうけました。転職したばかりでしたから、信じられない感じがしました。それが正当な措置か否かはともかくとして、腹が立ちました。その後、私は自分の仕事を減らしにかかりました。長時間のサービス残業をやめて、定時で帰ろうと思ったのです。資格試験の勉強を再開し、週末には起業講座に参加するようになりました。

もし減給されなければ、そのまま定年まで会社勤めをしていたかもしれません。その頃は運動する習慣もありませんでしたから、定年を迎えるころには病気になっていたかもしれません。思い切って挑戦をすることもなく、ただ時間が流れていったかもしれません。おそらく後悔したでしょう。

逆境に意味を見いだせれば、許すのがより容易になります。嫌なこと・つらいことも、役に立つことがあります。許しも同様です。

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参考:
Amit Sood, M.D. 「The Mayo Clinic Handbook for Happiness」
Amit Sood, MD, MSc 「The Mayo Clinic Guide to Stress-Free Living」


hidenorin
翻訳者。早稲田大学商学部卒業。名城大学大学院法務研究科(法学既修者コース)2016年修了。 全国珠算教育連盟珠算検定試験1級。TOEIC940。 趣味は読書、水泳、写真撮影です。

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