コンパッション(他者への思いやり・慈しみ)の効果


コンパッション(compassion)とは

セルフ・コンパッション(自己への思いやり)の次は、「コンパッション」(他者への思いやり)です。「コンパッション」とは、他者の苦しみに気づいた場合に、その気づいた人が示す情緒的反応をいうそうです。

たとえば、誰かが悲しんでいます。そのときに、その悲しみを共に感じたり、何かしてあげたいと思うこと。英和辞典では「思いやり」「慈しみ」です。

コンパッションは、後天的に学習したものではなく、生まれつきの本能だと考えられているようです。自然な反応で、それによって自らの生存が確実となる。研究によると、チンパンジーや人間の子どもは、まだ小さくて集団のマナーを学習していない段階でも、自発的に他者を助ける行動を示したそうです。

コンパッション(思いやり・慈しみ)の効果

どうしたら、ずっと幸せでいられるか。その秘密は、物や恋愛、成績や業績にはなく、私たちが与えることにあるそうです。ただ物を贈るのではなく、時間や愛情を贈る。コンパッション(思いやり・慈しみ)と奉仕を実践すれば、幸福になれるだけでなく、それに関連して多くのよいことがあるといいます。しかも、寿命まで長くなるかもしれないといいます。

コンパッション(思いやり・慈しみ)を示すと、幸せになれる。

アメリカ国立衛生研究所のJordan Grafman博士の研究によると、慈善運動で募金をすると、お金をもらったときと同様に、脳の快楽中枢が活性化したそうです。

また、ハーバード・ビジネススクールのMichael Norton教授の実験では、お金を自分のために使った場合と、他人のために使った場合とでは、他人のために使った方が幸福度が高いことが分かりました。

つまり、コンパッション(思いやり・慈しみ)を実践すると、幸せになれるのです。

コンパッション(思いやり・慈しみ)を実践すると、視野が広がる。

研究によると、抑うつ感や不安は、自分にフォーカスした状態と関係があるそうです。自分のことを考えていたり、自分のことについて思い悩んでいます。

しかし、コンパッションを実践すると、他者に意識がいきます。それによって気分がよくなったり、自分の状況について考え方が広がる可能性があるといいます。

コンパッション(思いやり・慈しみ)を実践すると、魅力的になる。

恋人にするなら、どんな性格の人がいいか。調査によると、男女とも、思いやりのある人が上位に来たそうです。

ダーウィンの「人間の進化と性淘汰」の中には、「思いやりのあるメンバーが最も多かった共同体が、もっとも繁栄し、最も多く子孫を残した」という記述があるそうです。「適者生存」ではなくて、「最も思いやりのある者が生き残る(survival of the kindest)」。こちらの方が適切だという説もあるそうです。

コンパッション(思いやり・慈しみ)を実践すると、健康になる。

炎症はガンや他の病気の原因となり、一般に、ストレスを多く受ける生活を送っている人は、炎症の数値が高いそうです。

ある研究によると、「幸せな人」(快楽的な生活を送っている人)はこの数値が高く、「とても幸せな人」(思いやりや利他主義にあふれた毎日を送っている人)は数値が低かったそうです。快楽的な生活を送っている人は数値が高い。この点が印象的ですね。

コンパッション(思いやり・慈しみ)は広がる

カリフォルニア大学サンディエゴ校のJames Fowler教授およびハーバードのNicolas Christakis教授によると、人助けは広がっていくそうです。寛大で親切な行為は、さらに寛大な行為を生むのだとか。

だれかに思いやりを示すと、それを受けた人は幸せになります。すると、それは自分自身のためになる。ある研究によると、幸せは広がっていき、周りの人が幸せになれば、自分も幸せな気持ちになるからです。

コンパッション(思いやり・慈しみ)を実践することは100%自然な行為

コンパッション(思いやり・慈しみ)によって気分がよくなるのは、それが自然だからだそうです。シカゴ大学のJohn Decety教授の研究によると、ネズミでさえも、他の苦しんでいるネズミに対して、同情を示し、助けようとしたといいます。

また、別の研究では、赤ん坊や幼児も、自動的に他者を助けるという行動に出たそうです。すなわち、コンパッション(思いやり・慈しみ)を示すというのは、動物や人間の自然な性質(本能的なもの)だということです。

大人は、子どもに比べて、思いやりを示すのをためらう傾向があるそうです。自分の利益になるからやっている。そう思われることを怖れているからだとか。でも、自然な性質(本能的なもの)なのですから、気にしなくていいということになりそうです。

感想

コンパッション(思いやり・慈しみ)を示すのは、動物や人間にとって本能。私は後天的に学習したものだと思っていましたから、驚きました。思いやりのある者が最も多い共同体が、最も多く子孫を残した。これにも驚きました。

コンパッションを実践すると、幸福度が増すだけでなく、健康にいい。では明日は、どうしたら実践できるかをご紹介します。

参考:
Emma M. Seppälä Ph.D. 「The Best Kept Secret to Happiness & Health: Compassion」
Emma M. Seppälä Ph.D.「Compassion: Our First Instinct」


hidenorin
翻訳者。早稲田大学商学部卒業。名城大学大学院法務研究科(法学既修者コース)2016年修了。 全国珠算教育連盟珠算検定試験1級。TOEIC940。 趣味は読書、水泳、写真撮影です。

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