生産性を高める一番の近道とは。


アデロールや精神刺激薬は、逆効果となり、生産性を下げる。

 

より早く、よりよく。誰にとっても、仕事に対する考え方は、こうなってきているようです。物事にすばやく取りかかり、ToDoリストに従い、カレンダーを上手に整理して、より効率的に仕事をする。しかし、不幸なことに、それにとどまらない現状となっているといいます。

 

スタンフォード大学CCAREのエマ・セッパラ博士によると、効率性についての強迫観念は、異常なレベルにまで達しているそうです。その異常なレベルというのは、アデロールやカフェインなどの精神刺激薬です。

 

アデロールは、日本では禁止薬物で使用されることは考えられませんが、カフェインは普通に使用されています。私も出張の際、眠くて車の運転ができなくなると、ときどき使っていました。これが結構、効くんですよね。

 

たしかに、ヌートロピック(向知性薬:脳の認知能の向上薬、頭をよくする薬)やカフェインなどの精神刺激薬は、一時的には生産性を高めるかもしれません。しかし、多くの場合に、かえって逆効果となって生産性を下げる結果となり、ついには働くことができなくなってしまうといいます。睡眠などの必要を無視して働き続けるからです。

 

マルチタスクに陥ったり、過去や未来のことを考えてしまう。

 

効率性を異常なほどに信奉し、生産性を高める強迫観念に取りつかれ、最適パフォーマンスを追い求めると、大切なことを忘れてしまうといいます。効率性を追求する理由は、自分のため。それを忘れてしまうのだそうです。たしかに効率性を追求して、自分が燃え尽きてしまうのでは、何のために効率性を追求するのか分からなくなってしまいます。

 

ここまで極端にならないとしても、子どもたちとよい時間を過ごそうと思いながら、同時に携帯やメールのチェックをすることは何とも思わないかもしれません。また、ベッドで休みながら、仕事中の同僚から連絡が来たら、それに答えてしまうすもしれません。

 

マルチタスクをしていない(複数のことを同時にしていない)とき、私たちは、いろいろなことを考えています。心があちこちへと飛んでいるのです。研究によると、人が現在のことだけを考えている(人の心が現在だけにある)のは、時間の割合としては50%しかないそうです。つまり、残りの時間は、過去や未来のことを考えていることになります。

 

今していることに注意を集中すれば、より幸せになれる。

このように、私たちはマルチタスクや、過去や未来のことを考えてしまいがちです。では、今ここに意識を向けたり、ひとりの人や一つの活動に100%の注意を集中するのは、どのようなときなのでしょうか。

それは、私たちが現在にいるときです。私たちの心は、時間の割合でみれば、50%も過去や未来をさまよっています。これを発見した研究者は、同時に、心が現在にあってさまよっていないときに、人は最も幸せであることも発見しました。たとえ今、特に好きなことをしていない場合でもです。別の言葉でいうと、洗濯やゴミ出しをしているときでも、自分のしていることに100%の注意を集中していれば、次の休暇のことを空想している場合よりも幸せになれるのです。

 

完全に現在にいることで、心理学者がフローと呼ぶ素晴らしい状態を達成できる可能性が高まるのだそうです。このフローの状態では、自分が現在していることに完全に没入しているので、完全な集中状態に入つて、至福の状態に近くなっているとか。このフローの状態が生じるのは、創造的な活動に携わっているとき、畏敬の念を起こさせる自然の風景に接したとき、だれかと深く理解しあっていると感じるときなどです。しかし、どうしたら日常でフローの状態に入れるのでしょうか。

 

マルチタスクは、仕事の質を下げる。

 

皮肉なことに、現在にいることによって、より効率的に仕事ができるのだそうです。なぜでしょうか。研究によると、マルチタスクをすると、注意が分散されるので、物事に対する記憶力や集中力が阻害されるから。実際には、多くのことをすると、することの質がすべて低下するのです。

 

どうしたら現在にとどまる能力を培うことができるか。

 

では、どうしたら現在にとどまる能力を培うことができるのでしょうか。瞑想、ヨガ、呼吸法は、大きな効果がある方法だといいます。しかし、ある活動を100%ですることにも、大きな効果があるそうです。たとえば、携帯を持たないで散歩をしたり、音楽を聞かないで運転をしたり、だれかの話を完全に集中して聴くなどです。研究によると、脳を鍛えて、より現在に集中させることができるそうです。つまり訓練することで、自分の注意を現在していることに、よりとどめておくことができるのです。

 

もちろん、いつも一度に一つのことをできるとは限りません。上司から電話があったとき、赤ちゃんが泣きだすかもしれません。ランチをしているときに、緊急の事態が発生して、メールを送らなければいけなくなるかもしれません。

でも、覚えておいてください。現在にとどまれば(現在していることに100%の注意を向ければ)、より幸せになれ、効率も上がるのです。現在にいればこそ、自分の人生に何が起こっているかが本当に分かって、自分や周囲の人との関係性が保てるのです。

 

 

 


hidenorin
翻訳者。早稲田大学商学部卒業。名城大学大学院法務研究科(法学既修者コース)2016年修了。 全国珠算教育連盟珠算検定試験1級。TOEIC940。 趣味は読書、水泳、写真撮影です。

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